お知らせ
「社会課題解決のハードルを極限まで下げる」というミッションを掲げ、様々な社会課題の解決に挑戦する「株式会社Gab(ガブ)」代表取締役 山内 萌斗さんとファイン株式会社の社長清水、山内さんとの交流があるスタッフ竹下が対談をさせて頂きました。エシカル軸での商品開発について、小売り業界のいままでとこれからについて、など色々とお話しを伺いました。
「株式会社Gab(ガブ)」の代表取締役として、「正しさよりも、まず楽しさ!」をモットーに、多様な社会課題の解決に取り組むリーダーです。サステナブルな未来を目指し、ゲーム感覚でゴミ拾いを楽しめるイベント「清走中」の開催や、日本最大級のエシカルメディア「エシカルな暮らし」の運営、エシカル商品を取り扱う「エシカルな暮らし オンラインストア」の運営など、多岐にわたる事業を展開しています。これまでに多くのメディアで紹介され、大手企業との協業実績も豊富です。「エシカルな暮らし オンラインストア」ではファインの竹の歯ブラシの販売もしてくださっています。
エシカルとは?
エシカルな暮らしオンラインストア
エシカル消費を促進するオンラインストアで、環境や社会に優しい商品を幅広く取り扱っています。食品、ファッション、ビューティー製品、日用品など、フェアトレードやサステナブルな素材を使用したアイテムが多数揃っており、無理なくエシカルな生活を実践したい方に最適です。商品は、環境への配慮や人権保護に基づいた厳選されたものが中心です。
エシカルとは?
「エシカル」は日本語に直訳すると「倫理」となります。倫理は道徳との違いを知ると理解しやすいです。道徳は「個人的な正しさ」なのに対し、倫理は「社会的な正しさ」を表します。
「社会的な正しさ」は時代ごとに変化するため、100年前の倫理観と現代の倫理観は異なります。「エシカル(倫理)= 時代ごとに人類が合意したルール」なのです。
現代の倫理観は、気候変動やゴミ問題、貧困格差等の「社会課題」が顕著になり、「人類の持続可能性」を軸に形成されています。「SDGs」は、現代の倫理観をわかりやすく17のアイコンで表した概念と言えます。
竹の歯ブラシを「エシカルな暮らし」に取り扱ってくださったきっかけ
清水:本日はお時間を頂きありがとうございます!改めまして、ファイン株式会社代表取締役の清水です。
Z世代でご活躍なさっている山内さんとお話しができるのを楽しみにしておりました。どうぞよろしくお願いいたします。今まではなかなかゆっくりお話しする機会がなかったので、今日は色々とお話しをお伺いできればと思います!
山内さん:よろしくお願いいたします!改めまして、 株式会社Gab代表 山内 萌斗と申します。
ファインさんとは、エシカルなブランドが集結するイベントではじめてお会いして。エシカルな商品として「竹を使った歯ブラシ」はいままでもいくつかあったんですけど、個人的な欠点として「すぐにかびてしまう」という点と「磨きやすさがプラスチックと比べて劣ってしまう」という点があって。そんな中で、歯ブラシメーカーであるファインさんが磨きやすさも追及しつつ、バイオプラスチックで簡単にかびたりしない歯ブラシを作られている、ということにとても魅力を感じて。「バイオプラスチック歯ブラシの課題をすべて解決している歯ブラシに出会った!」と感動して、いろいろとお話しをお伺いさせてもらって。
その際にぜひぼくが運営している「エシカルな暮らし オンラインストア」「エシカルな暮らしLAB」でお取り扱いさせていただけませんか?」とご提案させていただいたところからお取引をさせて頂いております!
エシカル軸で解決する中小・老舗・地方企業の課題
山内さん:「エシカルな暮らし」は、国内最大級のエシカルブランドに特化した商品販売とグロース支援のプラットフォームを目指しておりまして、私たちがエシカルブランドとして認定しているブランドさんは1,100社以上ある中で、現状だいたい220社とお取引させて頂いてます。5ブランドあったらそのうち1ブランドにはご活用頂いているという状況ではありますが、国内には33万社の製造事業者さんがいらっしゃるので、そう考えるとエシカルブランドは、まだまだマーケットが小さい。
ただ地域に眠る老舗の製造事業者さんとか、地場産業だったり伝統産業だったりとか、そういった会社さんは、結構地産地消などを意識されたりして、実はエシカルだったりして。
今後やっていきたいのは「まだエシカルではないけれど、実はエシカルなんじゃないか?」というような潜在的なエシカルブランドさんの、エシカルトランスフォーメーションをお手伝いしていければと思っています。
現状中国で安く物を作って、日本で販売するという流れや、自社でマーケティングをしないといけない、自社でECサイトを持ったりSNSでバズったりして物が売れる時代の中で、そういった地域の宝のような老舗企業さんが、本当に技術力もあって、地域貢献性もすごく高いにもかかわらず、ブランディングだったりコンセプトメイキングだったりとか、Webマーケティングの部分で時代の大きな流れに取り残されてしまっているように感じて。黒字廃業も社会問題になっていますが、ポテンシャルはあるのに廃業してしまっている会社さんも増えてきていますよね。それがすごくもったいないな、と。
やっぱりBtoCってデザイン性や機能性とか、表面的なコンセプトメイキングで結構売れたりするんすけど、コモディティ化してるなとも思ってて、どんな人でもいくらでも最小ロットで安く商品を作れる中で、結構ユーザーさんとしても「どのブランドも一緒じゃん」と感じたり、一番広告費用をかけて日常の中で接点が多いブランドが自動的に一番よく見えてしまう、というような広告合戦になってきている。
そんな状況で老舗企業さんが自社サイトを立ち上げて一般のお客様に商品を販売するといってもなかなか難しいと思うんです。その解決策として、エシカルにこだわって裏側の透明性を全部担保して、社会課題解決性があって、ストーリー性だったりがのせられれば、第三の矢になるんじゃないかな、と考えていて。そうやってエシカルなものをうまく実装しながらお客様に伝えていったら、コモディティ化している日本マーケットでも選ばれる可能性が増すだけではなく、グローバルマーケットにも展開できるんじゃないかなと思っています。
清水:おっしゃる通り、中小企業が「こんな良いものを作ったよ、こんなことにこだわったよ」と発信しても、消費者の方たちも目が肥えていらっしゃるし、情報量も多い中で「結局その商品のなにが良いのか」っていうところまでは伝えきれないな、と感じていて。発信の仕方を工夫しようと思っても、慣れていないベテランのスタッフが対応してもなかなかうまくいかず。若い方の意見が聞きたいと思っていても自社に若い方が入ってこなくて接点がなかったり。
私達のような中小企業は基本的に同じ社長が同じやり方でずっと続けていくので、なかなか社風や方針を大きく変えるのが難しくて。なのでこうしてプラットフォーマーとしてご活躍なさっておられる山内さんのような若い方々が、私達の代わりに発信をしてくださる、っていうのはとても助かっていて。
あとは企業同士での関わり合いというのも、いままであまりなかったのですが、山内さんを通して、色々な企業の方と情報交換をする機会も増えてきておりまして。今の時代、そういう出会いや関わり合いがとても大事だな、と思っています。他の中小企業さんや老舗企業さんとお互いの課題だったり解決策だったりを共有できている点でもとても感謝しています。
山内さん:おっしゃる通り今の小売り業界って今までと結構変わってきていて。今までは消費者に向けてCMを使って一方的に発信して認知してもらって「みんなあのブランド知ってるよね、信頼できるよね」という流れで共通話題が生まれて売れていく、というようなマスメディアによって商品が広がる時代だったんですよね。
ただSNSが出たところから共感で広がる時代になったなというふうに思っていて。めちゃくちゃ御社に共感してる人が10人でもいれば、その人たちがそれぞれ自分の持っているメディアで、「この商品めっちゃいいんだ」っていうふうに、なぜ良いのかをストーリーや思いも載せて熱烈に発信してくれたら、多分数百人数千人に一気にぱっと広がるんですよね。それこそ共感性でいうと、エシカルだったり、裏側の透明性だったり、ストーリー性だったり。そういうものがない商品よりも、ある商品の方が間違いなく共感できる要素は増えると思っていて。伝統のある企業さんが、今までのやり方ではなく新しく、共感で認知を広げていく時に、エシカルという第3の矢を用いるのはすごく有効だと考えています。私たちもそういう中小企業さんや地方の老舗企業さんの課題感をしっかり酌み取って、先ほど言ったような全員の課題をお互いにシェアしあってどう解決するか、お引き合わせができるような場作りだったりとか、よりマスメディアでなくSNSメディアを活用したブランドのいわゆるエシカル軸でのマーケティング戦略だったりとか、そういうところをお力添えできたらいいなというふうに思っています。清水社長もおっしゃていた通り、「課題はわかっている、でも出来ない」ってこと、中小企業さんや老舗企業さんでは多い気がしていて、そのあたりを私達が実行していけたらと。
エシカルアイテムを世の中に広めていくために
山内さん:私の会社でやっている「エシカルな暮らし」の事業概要が、エシカルなブランドさんに特化した商品販売とグロース支援のプラットフォームというふうに言ってまして。ただ単に商品を仕入れて売って販売売上をたてる、というだけではなくて、お店を持ってお客様と実際に対話したり、7万人のフォロワーがいるSNSでフォロワーさんとやり取りをする中で、例えば商品を買わなかったお客様に「何がネックになって買わなかったのか」というような理由を教えてもらったり、逆に買ってくれたお客様からは「こんなニーズがあって買いました」というご意見をもらったり、私たち自身が接客する中でこういう気づきがありましたっていうものだったりをレポートとして作って、各ブランドさんに毎月提出しているんです。その際もし企業さんのほうからご依頼があればミーティングを行い、売り場の改善策などをご提案させていただいています。このような形で出店ブランドさんと店舗スタッフ、お客様の垣根をなくして全員が良い商品開発に協力し合う、コミュニティ型の店舗というところを掲げてサービスを作っております。
このような形に至った理由として「エシカルでは物は売れない」という現実をここ2,3年の流れをみて気付いたからです。あくまでも消費者の比較検討段階において、同じぐらいの商品力があったときに、「私はなぜこのブランドを買うのか」「この商品を選ぶ意味」として後押しになる要因がエシカルというだけであって、大前提例えば歯ブラシだったら磨き心地やデザイン、薬用効果というところで、安い歯ブラシがもしそれらの希望を叶えていたらそっちが買われてしまう。そういう商品と比較して、お値段が多少高くても環境に優しい素材が使われていることや、メーカー側の思いへの共感、そういうお値段以上の価値が歯ブラシに乗っかっていれば選んでもらえる。
私たちも「エシカルでは物は売れない」ってことがわかっているのにも関わらず、ブランドさんから無条件に商品を仕入れてしまっても在庫だけ大きくなってしまって破綻する部分もあるので。私たちはブランドさんからお金をいただきながら、お客様と対話して情報を取りに行く、エシカルを活かして何が自分たちの商品のボトルネックなのかっていうのを本気で考えて向き合っていく。そうしていかないとエシカルアイテムを取り扱うお店として経営していけないし、エシカルマーケットも広がらないなと思っていて、そういう道作りをしているのが現状です。
エシカルな消費を世の中に広げていくためには、本気で物作りをしてヒット商品を生み出すために全魂を注がないと、これからのエシカルブランドたちはなかなか難しいな、とかんじています。そこで私たちは、ヒット商品を作るということに特化したプラットフォームをつくっている最中です。
清水:本当におっしゃる通りで、私達も25年間生分解性の歯ブラシを販売している中で、
「地球環境の状況はわかりました。では歯ブラシとしての機能はどうなんですか?」というのは必ずセットで聞かれてきました。
歯ブラシを使うなら、歯ブラシとしてどう機能がいいのかっていうところを出していかないと、お客様には選んでもらえないんだなっていうところを改めて実感しています。私自身、洗剤なども環境に優しいものを、と選んではいますが実際汚れが落ちないとなると、次また購入しよう、とは思わないので。
山内さんの強みとして、私達は歯ブラシ業界のことしか分からない、知らない、という状況の中で、他の会社はここはこうしてるよ、あの会社はこうしてるよという多方面の情報を共有してくださるところだと思っていて。例えば、デザインで工夫したけど駄目、ECサイトを工夫したけど駄目、そういう行き詰ったときに、「あの会社はこれとこれを組み合わせたから成功したよ」という情報を俯瞰して見られるっていうのが山内さんのアドバンテージだなと。
あとは、意外と売っている会社に直接商品に対する意見をいうのってお客様としても心苦しいところがあるんじゃないかと思っていて、山内さんの会社の方達が第三者として、お客様に色々と聞いてくださってそれを教えてくれる、というのはかなり貴重な情報です。フィードバックがあるというのはとてもありがたい存在だなというふうに感じております。
山内さん:ありがとうございます。今後はお取り扱いだけではなく、ぜひ一緒に新商品の企画・ブランディングなど担当させて頂けたらと思います!
竹下:ぜひ!ファインも最近竹以外の木材でも歯ブラシを作れるようになったり、技術を活かして歯ブラシ以外のコップやカトラリー、ゴルフマーカーなども制作できるようになりましたので。宮崎のシーガイアリゾート様にも敷地内に生える黒松を使用したゴルフティーを提供させて頂きました
山内さん:そうなんですね!ぼくたちも今、ホテルさんと一緒にエシカルなアメニティを作ったり、エシカルブランドのセレクトショップを出そうか、という話しもしているところで。それに関連してそのホテルがある地域の廃材を使って商品が作れないかな、という話しもしていて。
竹下:廃材利用、良いですよね!
清水:今日はお時間になってしまいましたが、私達としてもぜひご一緒に何か出来ればと思っておりますし、今後ともよろしくお願いいたします!
山内さん:こちらこそよろしくお願いいたします。今日はありがとうございました!
清水 竹下:ありがとうございました!